2017 年頭の一冊

昨年一年かけて反芻していた一冊があるのです。

「私たちはどこから来て、どこへ行くのか」
宮台真司

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この本は知人に紹介してもらって購読しました。
でも、本棚にもどこにも、この本が見当たらない・・・。

ご親切にアマゾンによると、
「お客様は、2016/1/19日にこの商品を注文しました。」
ということです。

ずっと持ち歩いていて、移動が多かったので、
どこかへ置き忘れたままにしているのかな。
考えていて、読み返してみたいときにすぐ手元にあったら便利なので、
気に入ったものはどうしてもそういう扱いになるのですが、
それだけに、一通り乗り越えたら
気が付けばそこにはない・・・。

本は、求める人が求めたいところを自由にもぎとっていける、
いけてしまう、ものだと思いますが、
この本を書いた宮台さんが伝えたかったところと、
この本から私が得たものが、うまくリンクするかどうかは分からないけれど、
この分厚い本の中で私は特に、二つの実をしっかりもぎとりました。

でもまた数年後に読み返してみたら、
別の実をもぎとるかも知れません。


もう一冊は、次男の本棚から
「異邦人」
カミュ
です。
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これは中高生がつい選びがちな本の一冊で、
これによって文学嫌いになることが多いそうです。
聞いたことのある題名で、
しかも手に取ると想像以上に薄い!
短くて読みやすいかな?と思わせる・・・。
カミュって名前の響きも何だか素敵。

次男も例にもれず、古本屋さんでこれを買いました。
でもこれは中高生にはなかなか難しいです。

私は久しぶりにこれを読んで、
改めて怖くなりました。
何が怖いのかというと、
私の中に潜んでいる異邦人的な要素を見つめてしまうからです。
そしてそんな私が育てている子どもたちが、
やはり異邦人的な悩みを持ち始めるかもしれないことが、
取り越し苦労とは分かっていても、
親としては心配です。

私情はさておき、
去年話題になった「コンビニ人間」を読んだ方は、
もう一度「異邦人」を読み直してみるのがいいと思います。

あと一つ。
これは本ではないのですが、
去年の12月2日の朝日新聞「異論のススメ」に掲載されていた
佐伯啓思さんによる「エリート・漱石の苦悩…西洋的理論がもたらす分断」
という記事がとても印象に残っています。
去年は夏目漱石が再び脚光を浴びたわけなのですが、
調べたら調べるほど、大変な逸材だったことがわかるのですね。
そして、現代のこともおおよそ見えている人が、
漱石をその渦中に投げ入れるとまた新たな視点が生まれたりして。
夏目漱石や司馬遼太郎が生きていたら、
どんなふうに今を見るかなあ、
どうでしょう、一言コメントを、って
インタビューしてみたいと時々思うことがあって。
それだけにこの佐伯啓思さんによる漱石に関する記事はとても面白く、
また個人的な感情でもすっきりさせてもらった部分もあり、
いい記事だったなあとすごく印象に残りました。

去年は宮台真司さんの本を一年かけて考えましたが、
今年は、佐伯啓思さんの本にもトライしてみたいと思いました。
去年からずっと思っていたのですが、
池内紀さんの本を今年はたくさん読んでみようと思っています。
数年前に新聞で、池内さんの写真とその記事を読んで、心を奪われました。
やっと今年、取り掛かれそうです。

こんなふうに書いていると偉そうに思われるかなって思いますが、
違うのです。
私すごくあほなのです、もう恥ずかしいくらいに。
あほだからこそ、賢この人が何を考えているのか知りたいのです。

昨日、図書館のインターネット予約の申請をしてきました。
ずっとずっとそうしたかったのですが、やっとです。
これで、気になる本をいつでも予約できるのです。
うれしいな。







by thuchinouta | 2017-01-10 21:06 | book