気になる木

ずっと、気になる木があったのです。
息子たちの学校の前に、桜の木が。
いつの頃からか、枝が折れたままでいました。


気になる木_d0347652_21383904.jpg

三月の卒業式の時も、
四月の入学式の時も、
ああ、折れてるなあと思って見ていました。

折れているのを知っているのに
そのまま素通りしている自分に少し罪悪感を感じていました。

毎日その木の前を通る生徒も先生も、
この木のこと、見えてるかな

街路樹的に整然と並ぶ木々の中で、
その木だけがボキンと折れているので
私の目には嫌でも目に入ってきて・・・。

そのまま折れた枝が朽ち果てていくのを見届けるか、
それとも折れた個所に添え木をしてぐるぐる包帯を巻いて、
生き返るかどうか見守るのはどうかな、
などいつも考えていました。

ただ、見えてはいても、この木は学校の敷地に植えてある木ではないのです。
学校の前の、よその土地に植えてある木なのです。
その土地には、見たところ建物は立っていないので、
常駐している人もいらっしゃらない様子です。

私が勝手なことをして何か問題になってもいけないし、
かと言って学校に、この土地の所有者に連絡を取ってもらって
この木に何か手を加える許可をもらうよう頼むのも、
いらぬ手間を取らせるような気がして気が引けて。

PTA会長さんに会う機会があったのでちょこっと相談したりして。

そうしている間に、とことことこの木に近寄って、
枝を持ち上げたりしながらまじまじと観察してみました。
すると、葉っぱの赤ちゃんがぴょこんと顔を出しているではありませんか。
生きていたのです。

数日たつと、みるみるこんなに葉っぱが成長してきて!

気になる木_d0347652_21384809.jpg

ここに、来年の春には桜の花が咲くんだなあと思うと、
とてもうれしくなりました。

私は、このことで少し反省したりもしました。
このことはまるで私の思考癖、子育て観とも言えるのです。

何本も立ち並ぶ木のうちの一本、枝が折れています。
毎日たくさんの生徒や先生が前を通りますが
でも、それは学校とは関係ないのです。
だけど私は気になって仕方がない。

この木のことをどうにかしないで、
一体みんなは一生懸命何を学校で、しているのだろう。
何を考えて、何でそんなに忙しく、疲れているのだろう。

早くどうにかしないと。
早くどうにかしてあげないと。
私は知ってて何もしていない。

でも、時がたてば、木は自らみずみずしい葉っぱを生み出しました。
私の一人芝居でした。

子育てでもこんなふうにとんちんかんなことをやってしまっているのだと思います。
世間ではどうでもいいようなことに
やっきになって慌てふためいて。
その分、「今でしょ」っていう時にするべきであろうことを
すっぽりと抜かしていたり。

素知らぬ顔をしているように見える学校や世間に
冷たさを感じたりしていらぬ気を揉んで
結局は、そのもの自身が持つ力でどうにかなっていくのを
目の当たりにして終了。

ただ、PTA会長さんはそんな私の自作自演じみたこの一連の報告を
とても好意的に肯定してくださいました。
自分では余計なことを言っておかしな人だと思われたくないとか、
迷惑をかけたくないなどと思いながらの事なので、
そう言っていただいて、
ちょっとじわーんときました。

いつも取るに足らないことを、
両手広げても足りないくらいに大きく膨らませて考えてしまって、
ぐるぐるぐるぐる。

でもね、これは治らないのです。
ずっとずっとぐるぐるして、これからも。



























by thuchinouta | 2017-05-17 22:08 | diary